制作テクノロジー

優れた作画技術は、目を肥やすことです。

目を肥やすことが、多くの知識に結びつきます。

「魅力的な絵とは何か」という本質的な理論を理解すると、見る人にその魅力が自然に伝わります。
図面や資料、写真、絵画を解析して、私たちは知見を深めています。
腕を磨きながら、まず目を肥やすことを重要視しています。
舌の肥えた料理人の作る美味しい料理のように、目の肥えたイラストレーターの制作するビジュアルは、必ずや見る人の感動を生み、行動へと導きます。

奥深い知識と技術で、様々な技法を編み出しています。
課題に対する私たちのテクノロジーをご覧ください。

まず最初に歪みとの戦い。

建築パースも写真も歪み無く制作しています。

人間の眼とパースの限界。

実感的空間こそ自然のおきて。

写真やパースは定めた位置から定めたレンズで描写します。
一方、人は立ち位置を決めたとしても首を回して物体を見た時点で、パースが変化して、自然な表現できなくなります。
人の眼で見た空間は「実感的空間」として脳が、歪んだ画像を補正処理しています。

以下の写真は約180°の画角で撮影された歪んだ画像です。
オレンジ色に輝く手前の道は湾曲して見えますが、実際は、もっとゆるいカーブです。人は脳内処理をおこない、歪みを補正しているため、写真では不自然に見えています。


超広角レンズで撮影した極端に歪んだ画像

人が感じる実感的空間に近づけた処理を施した作例

超広角レンズで撮影された画像は大雑把に言うと球体に貼り付けられた画像です。この場合、球体の反対である球体の裏側に貼り付けるようにマッピングし直します。

よりリアルに、より自然に。

実感的空間こそ自然界のおきて

特別な理由がない限り、パースに歪みがないよう制作するのは当然といえます。
制作者は極端に広く見せようとして至近距離から見たパースを描こうとする傾向があります。ごく一部のクライアントもまた、より広く、より高く見せるようリクエストがあるのも事実です。
しかしこれでは画面上に強い歪みが出てしまいます。

歪みと戦う私たちのビジュアル制作は、自然に見える距離で実感的空間を自在に描くことができます。
それは3DCGの世界でも同じです。


3DCGで描いた歪みのない室内パースです。

すべては完売をめざすブランド戦略技法です。

現地撮影、ロケーションハンティング

それは現地の空気感まで撮影します。

私たちはパースを描く前に必ず建設現場付近の詳細な撮影、ロケーションハンティングを行っています。
Google ストリートビューは素晴らしい発明ですが、季節や更新時期の都合で不都合が起こります。

街のたたずまいや街の空気感、日照角、交通量、人の流れはもとより、ランドマーク、駅周辺の施設や公園などは、足を運ぶと鮮度の高い新たな発見に満ちあふれています。

その思いのすべてはベストアングル、最高の構図作りと心震わせる最終イメージ作りのためです。
数百枚のあらゆる撮影箇所をフレームに収めています。
現地撮影が素晴らしい構図の場合、撮影位置に合わせて完成予想図の見る角度さえ変えてしまう事もあるくらい重要な作業です。

構図と3DCGと色彩と。

構図の見せ方と空間の見せ方、色彩の魅せ方。

売れる80%の最大要素。構図。

嫌われる禁忌構図を避ける。

絵の見せ方を意味する構図(アングルスケッチ)は作品の良し悪しの80%を決めてしまいます。
実は構図には禁忌とされ、見る人に無意識に嫌われる構図があり、これを意識せず描かれたパースをよく見かけます。
恐ろしいことですが、概ね販売段階で苦戦を強いられます。
イラスト・リオでは現地撮影写真と地図、図面を参考にベストアングルの構図を手描きスケッチで提案しています。

物件とそれを取り巻く風景が最も映える瞬間を画面に盛り込むため、構図には最大のこだわりを持っています。
建築物本来の魅力を余すところなく伝えるよう、季節や時間帯、天候まで考慮しながら構図を検討しています。

三分の一理論または五分の三理論、S字理論、シンメトリー、二種類の黄金比、色彩重量比、イメージサークル理論などあらゆる技法を駆使しています。
広告でお客様に嫌われては、本末転倒だからです。


代表的なS字構図です。建物の立地を表現するために、奥に見える
背景から手前の道路までをSの字のように配置した構図です。

環境光によって色彩は大きく変わります。

設計者のなかには、ごくまれにタイル見本や、その他の色見本帳通りに色彩を表現して欲しいと言われることがあります。
しかしはたして現実世界の中で、色見本と同じ発色になるのでしょうか?

答えは、限りなく「ノー」です。
なぜなら人の目は光源の反射光として物を見ています。
したがって光源が変われば色彩の発色も異なります。

一方、色を色見本通りに再現できる忠実光は、光源の色温度が5,500K(ケルビン)で、その光線が物体に直射した時のみです。
また日照角がずれたり空が曇ったりすると色彩は変化します。
人工光源を使用しない限り、現実的にはあり得ない色彩表現です。

私たちは光源の色温度、反射光、紫外線を意識して現実世界に忠実な色再現を行っています。

自然界の豊かな色彩を表現します。

現実世界は想像を超える、無限の色彩が広がっています。

前述の通り「建築素材の色見本通りに描いて下さい」というオーダーを頂くことがあります。
しかし、自然界の絶妙な色彩表現力は、まばゆいばかりの色彩の宝庫です。
普段、肉眼では脳内処理によって、意識できない色彩が隠れているのです。
私たちは色温度の違いや反射、紫外線、レンズフレア、さらに補色、偽色、錯視、明暗順応まで駆使して描いています。

色見本通りに着色することは、実際に見える自然法則に反しています。大事な販売段階でお客様に対して、このような絵空事をお見せするのは、信頼を裏切る行為です。
広告媒体として見たとき、私たちは最も自然な印象をお客様に感じていただけるよう、芳醇な色彩を再現します。


この絵は色彩がやや強く感じますが、実際の写真撮影でも
技術的に同じ色彩表現が可能です。

四季の移ろい。流れる時間。
変化する天候をリアルに描写します。

四季の表現をあやつります。

あらゆる自然現象を表現する職人技。

日本の四季を描くのは単に木々の変化ではなく、温度と湿度、それに大気中のチリと日照角です。
例えば、春は春がすみ、夏は積乱雲とハイコントラスト、秋は天高く紅葉、冬は冬雲リと雪が定番ですが、
それ以外でも時間や天候によって全くおもむきが違います。
お客様に対して身近な情景を提示することは、購入を前提としたライフスタイルを想像するのに充分な対策です。

パースのベストな時間帯。

リアルな絵は絵空事ではありません。

時間帯では日の出前、日没後の20分間が物体を最も美しく見せると映画業界では基本中の基本です。
物件の魅力を最大化する時間の設定が、素早い販売に結びつきます。

具体的には朝焼け、夕焼けなど日照角が低い場合、色温度は3,000K(ケルビン)まで下がり日陰は9,000Kにまで上がります。このとき建物はよりダイナミックで気品ある表情を見せます。
また日が沈んで暗くなる前の20分間の描写は、色彩が美しく、イラスト・リオでしか表現できません。


背景は自社ドローン空撮による写真です。現実世界でも日没直後のベストな時間帯を選ぶことで美しい日常が撮影できます。
手前のマンションは逆に写真の色彩に合わせて描いています。

天候の表現も思いのまま。

晴れ・曇り・雨・雨上がりを自在に操ります。

物件の特徴に合わせて、私たちは天候まで自在にあやつり、ご提案します。

快晴時はもとより、雨の中の風景までも描き分けます。
特に雨上がりの風景は詩情あふれる表現ができるので、訴求力の高い画像を提案できます。

また、雲は大きく分けて3つの層からなり、これらに季節や時間帯、天候を組合せる事でより自然界に忠実な臨場感をかもし出します。
競合他社と差別化するのに有効な手段です。

圧倒的な情感表現力。

自然現象に忠実なフィニッシュ技術。

静止画または動画の仕上げ技術です。静止画ではPhotoshopに代表される画像加工用ソフト、ペイント系ソフト、着色専用ソフトを使用しています。
リアルな水面、レンズフレア、煙などのエフェクト系ソフトもありますが、コントロールのしにくい場合は、手描きで直接イラストボードに描いてデジタル化の後、合成しています。

四季に恵まれた日本。
物件が最も美しく見える時間帯。雨上がりの午後。自然界の絶妙な色彩再現性は、息を呑む華やかさがあります。
様々な自然現象を考慮して、圧倒的な表現力で見る人の情感に訴えかけます。


陽光をを受けた壁面と受けていない壁面の色温度の違いが秋の風情を引き上げています。

説得するより、納得できる手描きの凄み。

今どきアナログペインティングなんて流行らない、今やCGでできない表現はないと言う人もいます。
でもそれは間違いです。
自然界で見られる様々な光景には、まだまだ手描きの方が勝っている部分がたくさんあります。

最新のアメリカ映画もCGが実写には及ばないように、リアルであることにおいては、CGや実写、手描きそれぞれに最適な組合せがあるように思います。
あふれ出る臨場感は手描きならではの凄みです。


この室内パースはCGを一切使用せず、イラストボードに全て手描きで描いた作品です。
ボードサイズ:A2  絵の具:アクリル絵の具その他 
デジタライズ:Phase One社PowerPase+ 
レンズ:Schneider社G-Claron240mm/f9 f9で撮影

VFXフォトレタッチ

イラスト・リオだからできるクオリティー

レタッチと言っても単なる写真修正とは違います。
私たちは他と全く違う手法でアプローチしています。
パースと写真の知識、3DCG技術、イラストの技術があるからできるレタッチです。

重要!切り抜き注意

上手な切り抜き扱いで、販売力を落とさないために必要なこと。

パースの本質は、お客様にできる限り忠実に風景を見て頂き、周辺環境までお伝えすることです。

印刷媒体(パンフレット、チラシ)でグラフィックデザイナーが切り抜きをされているのが散見されます。
せっかくの臨場感をバッサリ切り取られるのは、制作者としては悲しいばかりです。(著作権法 第20条、第27条に抵触)
そこで是非、グラフィックデザイナーと打合せの上、私たち自ら切り抜き用の画像を提供させて下さい。作品の切り抜きは、もちろん無料です。

駅前の不動産屋さんの広告よりも、臨場感溢れる切り抜き技術は訴求力を高めます。これはブランド価値にも直結します。
広告媒体の上手な切り抜き技術が私たちにはあります。


グラフィックデザイン上、切り抜きの方がレイアウトの自由度が上がります。デザイナーよりも効果的に切り抜く方法が私たちイラストレーターにはあります。
上の絵は周辺の豊富な緑を残した切り抜き画像です。

作画知識を得るために勉強会を毎週やってます。

スキルより目を肥やす作画の思考法。

イラスト・リオでは毎週1回、様々なテーマで勉強会を行っています。
日本のインテリアコーディネートの草分け的存在である鳥井 幸子先生をお招きし、インテリアの基礎から応用までご教授いただいたのを皮切りに、透視図法、構図、色彩に至るまで研究を重ねています。
最先端の作画技術を支えるのは、先人の豊富な関連知識の探求です。
実践的なテクニックより、目を肥やすための光の特性、パースの応用概念、作画の思考法などが主体です。
これによってイラスト・リオの完売を目指すビジュアルが生まれるのです。


鳥井 幸子先生によるインテリアコーディネーションの勉強会風景です。